60代 男性
右上の奥歯2本がグラグラで、インプラントを希望された患者さんです。他医院ではインプラント手術は不可能といわれ、当院に来院されました。
ポケット内に器具を挿入してみると、かなり深部まで入っていて重度歯槽膿漏であることがわかると思います。
手術を行うにあたり骨量を確認するため、CTを撮影しました。
根の先端周囲の骨はかなり吸収し、上顎洞までの骨の高さは1~2mmで、インプラントとしては、かなりの難症例と思われました。
当初はサイナスリフトを考えましたが、上顎洞の側壁骨に後上歯槽動脈がみられるため、サイナスリフトは断念し、ソケットリフトを選択しました。
歯槽膿漏の奥歯2本を抜歯後、ソケットリフトの通法どおり、専用の器具を用いて、骨補填材で上顎洞粘膜を挙上しているところです。
予定している高さまで膜を挙上して、径3,75x10mmのインプラントを埋入しました
対合歯(下の噛みあってる歯)が1本しかなかったので、埋め込んだインプラントも1本だけです。
術後4か月のX線像です。
そろそろ上部構造(歯冠)を作成できる頃かと思われます。
このように、従来は、上顎骨が3mm以下の場合は、2回法(骨を作るのに6か月、インプラント埋入してさらに6か月、合計12か月)でしたが、現在は骨が1mmでも優れた材質のインプラントや高度な技術を駆使することにより、術後4~5か月で終了することができます。